大変良い物を借りることが出来ました。
城下工業さんのSWL-AA1 真空管アンプです。
大きさもA4サイズ、重さも3.7kgと置き場所を選ばない。重量配分もまずまずで、他の真空管アンプの様にトランス側に重量が集中して、持ち上げにくいなんてこともありません。
デザインも今風で、インテリア性も高くお部屋の印象を損なうことなくマッチできると感じました。とにかく全て扱い易い、これが最初で最大の第一印象です。
機能的にも無駄な物はなく、と言ってもアナログターンテーブルまで接続でき、デジタル派、アナログ派どちらも自由にセッティングできます。
ターンテーブル横に置いてなんて、なんともカッコ良いですよね。針はММのみで、МCには昇降トランスが必要です。
それ以外にトーンコントロールだけがあり、これでスピーカーの自由度も上がると思います。う~ん、なんとも扱い易い。
さて、ここからが本題。音の印象は結論から言って「無色透明」です。色々な感じ方はあるでしょうが、自然で心地よく曇りや濁りをあまり感じない。
価格帯から考えても、真面目なオーディオ機器としての価値は高そうです。
無色透明のデメリットは、はっきりした特徴が無いとも言えます。だからこそ飽きがこないと感じました。そこで、弊社としてかなり異質な提案をさせて頂きました。
単なるインテリアグッツに終わらず、オーディオの魅力を発信できる、本格派オーディオ機器として位置付けても良いのではと考えました。
100万円もかけなければ、満足なオーディオとは言えないなんて根拠のない世界を壊せるとも感じました。
写真にある弊社のスピーカーは、大変個性的なスピーカーです。元フランス老舗メーカーAUDAXのフルレンジで、ジャズバーかライブハウスに居るかの様な、
音の鮮度とリアリティーを持った、中音域を聴くためのスピーカーと思っています。
低音重視の現代では、こんな商品は市場にありませんから。真空管アンプ好きの方は、むしろ中音域の艶やかさや鮮度を重視されているのではないでしょうか。
音の軽さ、スピード感はこのユニットは最高です。このアンプが、艶やかさを演出してくれます。ですが、そのままBOXにはめても満足な音にはなりません。
そこを調整しているのが弊社の技術です。(自画自賛)
そこはともかく、中音域にこだわる方にはこのアンプは有効です。「無色透明」の魅力がここで発揮されます。聴かなきゃ損です。
そもそも片側3.2Wのアンプに重低音を求めるのがナンセンス。8インチウーハーユニットでは満足にドライブできません。
シングルアンプから考えても同様です。このスピーカーは、能率が94dBありますから、全く不足感はありません。
ビンテージファンが言われる、「上も下も追いかけない」が正にこのシステムです。これでアナログを聴いてほしいな。
この様なシステムをお探しの方には、上記の内容で何が起きているのか、何を考えているのか手に取るようにお解りのはずです。
何とか実現できたらと思います。
余談ですが、カタログに「真空管が魅せる、暖かな音をリビングに。」とありましたが、暖かな音には程遠いようです。
そもそも真空管の暖かさの一つは、調整不足にあり不安定さを聴いている場合もあります。
そこを徹底して取り組んだエンジニアと、音に対する妥協を排除した城下工業さんのスピリットを強く感じます。
暖かい音的なものを出すには、大型良質の出力トランスが必要です。ペアで10万はするでしょう。
ドイツ製の真空管アンプでは、竹を割ったような明解の音もあります。真空管アンプ=暖かい音はそもそも間違いです。
ですが、このすっきりした音の印象は正しく真空管?かと思いました。
また、前段、付属の12AX7の真空管をSOVTEK 7025/12AX7WB に変えたところ、中域に張りが出て高域のきつさも殆ど感じなくなりました。
これは合っているように、思います。こんなことが出来るのも真空管アンプならではですね。