社長日記
和太鼓
2015年01月07日
新春ともなると、あちことで和太鼓の演奏が披露されます。中には、直径1mを超える物もあり、その重低音は流石としか言いようがありません。
でもなぜあれほどの大きな低音が出るのでしょう?
確かに直径1mですから、スピーカー(ウーハー)で1mもあれば、かなりの低音が期待できそうです。でもそれだけではなくて、後ろ側に張った同じ皮が、重要な役目をしています。前面の皮を叩き、皮が振動して、その振動が太鼓内部の空気に伝わり、後ろの皮を振動させます。その時に、内部では空洞現象をお越し、高域の高周波が打ち消しあい、更に高周波では後ろの皮を動かす力はないため、低音(低周波)だけが後ろの皮から発せられます。
と言うことは、単純に考えれば、倍の低音が出ていることになります。この方式は、スピーカーでも同様の物があります。それがパシップラジエータ―(昔のドローコーン)です。この方式では、後ろの皮に当たるパシップラジエーターからは、せいぜい1KHzか2KHzまでしか出ませんし、しかも非常に弱いので、中高域に濁りが無く、しかもウーハーユニットの裏側の音も利用できるので、低域特性も有利です。バスレフ方式と異なり、低域のアップダウンがありませんので、同時に深い低音を楽しむことが出来ます。
とは言え、ユニットからBOX内の空気を動かし、更にパシップを振動させるため、どうしてもスピード感が落ちてしまうのが欠点です。バスレフの場合はBOX容量をむやみに大きくすると、やはりスピードが鈍くなります。しかも、大きな穴(ポート)にすると、ユニット裏側から発せられた中高域の一部が漏れてしまうため、音の濁りにつながります。
スピード重視なら、やはり密閉型。しかし、一般的なユニットでは、100Hz付近から下の低音は下がってしまう傾向があり、裏側の音を完全に遮断する密閉型では、強い低音を生み出すのはかなり苦労します。
21世紀になっても、これなら絶対と言えるスピーカー方式は未だなく、そこが悩ましくも面白いところかもしれません。
ちなみに、あの1m超えの和太鼓の音を、ホームオーディオで再現するとしたら・・・
仮に直径50cmのウーハーを用意し、和太鼓の皮の面の振幅幅の4倍の振幅が出来るユニットだとして、それと同じパシップラジエーターを使い・・・ ところで、あの肉体美(ちょっとマッチョ)な演奏者の振り下ろしたバチの威力は何ワットに当たるのか???
一般の方は、こんなばかばかしい挑戦はやめましょう。これこそ生演奏を楽しみましょう。