銘木無垢材に付いて
現在、インテリアを飾る木製品は、殆どが木目をプリントした物や、1mm程度のツキ板を貼り合せた物ばかりが目立ちます。天然材は高価になり過ぎて、工業製品として普及しにくいことが考えられます。しかしながら近年、本物志向が強まる中、かつての家具の様に、天然材を好まれる傾向は強まっています。
例えて言えば、銘木無垢材が観葉植物であるなら、プリント合板はその造花に当たると考えられます。メンテナンスフリーの造花に対して、生き物である植物は、最低限の世話が必要になります。銘木無垢材を維持するためには、注意しなければならない事があります。国産の天然無垢材の場合、冬場の乾燥が最も苦手で劣悪の環境であれば、大きく変形し爆音を立てて割れてしまいます。通常の木材の水分量は、約40%程度もあり、冬場の乾燥で、室内の湿度が30%を下回る場合、上記の問題が発生しやすくなります。
現代の住宅では、暖房等で外気より乾燥が進んでいる所も珍しくはありません。特にマンションやオフィスビルの様な、コンクリートの建物にその傾向が強く見られます。この様な環境では、仮にスピーカーBOXが破損し、それに代わる新品と交換した場合でも、数日で同じ破損を起こしてしまいます。今までの経験から、変形や割れが起きにくい設計を施し、年間を通じての実験から、変形、破損が起きないことを確かめておりますが、湿度30%以下の様な、当初から維持が不可能な環境での保証は、困難な事をご理解下さい。
極度の乾燥は、インフルエンザウイルスの急激な繁殖、お肌の乾燥などの人体への悪影響も大きく、木材だけのダメージでは済まなくなります。観葉植物に例えたように、銘木無垢材は生きています。本商品も「木」の呼吸を助ける表面処理を施す等、意識した作りになっております。オーナーに成られる方も、この点にはご注意頂き、加湿器等で湿度を40%以上に保たれる様、ご配慮頂きますようお願い致します。
ご存知の様に無垢材ですので、仮に傷等が付いた場合でも、長い間にアンティーク家具の様な風合いを持ち、より愛着が増される商品であると考えております。高級ギター等に見られるように、天然材を使った音響機器の場合、その響きは長い時間をかけて、オーナーの好む音楽に合うように変化するとも聞いています。時々使って眺めてあげる事で、生き物である「木」はそれに答えてくれる物だと思っています。また、国産銘木ですので、夏場の高温多湿には全く問題ありません。上記のような点を、是非オーナーに成られる方にご理解頂き、「銘木無垢材に付いて」をご承諾頂いた上で、ご注文を頂きますようお願い申し上げます。
高井工芸