2021年2月

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写真がぼけてしまいましたが、概ね部品交換は終わりました。
50年の歳月で、部品も小さくなりだいぶすっきりしました。特に電源平滑用コンデンサは取り付けの都合から、大きさで探していたのですがご覧の通りだいぶちぐはぐになってしまいました。 この機種は輸出用でもあり220v対応で設計されていますので、電源用の小さい方のコンデンサはそのための物ですからこれで良いでしょう。 電源コードもべたべたでしたので、3P電源コードに変更しました。NとLを間違ったりでじたばたしましたが、こちらも後ろすっきりとなりました。 部品の購入ミスで、足りないものが有るので全ては終わっていませんが、他に必要な部品が出るまでしばらくはこの状態で使用します。そんなことで、Phonoイコライザー基盤は手付かずです。


肝心の音の変化ですが先にご報告しました際には、ドンシャリ系で薄いやせた印象の音でした。高域がきつくソースダイレクトでの使用は難しく、トーンコントロールを入れると明らかに劣化が感じられました。(今でも変わりませんが) 部品を少しずつ変えながら試聴してきましたが、最大の要因は電源系でした。これは劇的に変化した事と、年式が古い物では電源系の部品が特に劣化します。高級な電源コードを用いれば更に変化があるかもしれません。 結果ですが、全体のバランスが良くなり高域のきつさは全くなく解像度が高まり奥行き感が強くなりました。当時の開発者は流石ですね。 本当にピュア―な印象で、開発者の思想は「何も足さない」ではないかと思えるほど自然で、味付けの主張は全くありません。艶やかよりは透明感でしょうか。自分が使うのアンプとしてはこれで十分に思います。 当時の価格が126000円らしいので、現在作ったら倍ぐらいではないでしょうか。


程度はすこぶるよく、トランジスタの足も黒くなっている物はほぼありません。全てこのまま使います。 フィルムコンデンサはそこまで劣化はしないようですが、念のため交換。ビンテージ部品でよく見かけるセラミックコンデンサは、多分経年変化に強いのだろうと交換しませんでした。


当店はスピーカーを作る業者ですから、味付けが強い機材は開発の妨げになります。やたらふくよかで艶やかな音もいいなーと思うのですが、これらの機材に合わせると、小さなデジタルアンプなどではやせた音になってしまいます。 当店の販売価格帯では、その様な環境も当然考えますし数百万の機材を用いるお客様はわずかだとは思いますが、いないとは思っていません。このアンプならそれらの幅広いユーザー層にも対応できそうに感じます。 外観の改善はこれから、しばらく暇なしになりそうなので・・・


こんな感想を書いてきましたが、そもそも少々変わった接続で使っています。CDデッキの上にぱっとしない機材がありますが、これはアンバランス信号をBTLバランス(平衡)信号に変換する器械です。ヤフオクで1円で落札した記念商品です。 自作のパワーアンプはBTL入力のみですので、この機材で変換して使っています。アンプの印象もこの変換機の性格がどうしてもプラスされています。 同一条件で試すすべがありませんので、概ねこんな印象でしょう。


余談ですが、このDENONの有名CDデッキは針飛びがひどく処分を考えた程です。蓋を取ってピックアップの脇にある小さな可変抵抗?を精密ドライバーで少しづつ動かして調整しました。 そしたらその後不具合が全く起きず、故障もなく快調です。S10では調整ネジが4カ所あるので、それを調整するのは組み合わせが多くて大変ですが、このタイプでは捨てる前にやる価値が有ると思います。



実は電気回路は詳しくなく、アンプなんて修理できるはずもないのですが、部品の交換ぐらいならと始め、結果がこの通り。

F&T、SIEMENS、AUDAPHONのドイツ製からWIMA、東信、シズキ、パナソニック、ルビコン、ニチコン、FUJI RIVER CAP、HILIPSまであります。詳しい方ならこんなことにはならないでしょう。あれが足りない、これが品切れなど、意図不明な選択となってしまいました。

フィルムコンデンサであれば、パナソニック(松下)の茶色いやつなら1/3の価格で間に合ったかも・・・



こんな時代ですので、新商品開発は控え出来るだけ簡素に支出をおさえ、最低限度売れる商品だけを切らさないように生産しています。 いつも木工機器をお借りしている神奈川県の工芸技術所も、コロナで使いにくくなり外出も控えるようにしていることから、全体のフットワークが全く上がりません。


そんな中、HC-TX420の2Wayスピーカーが幾分売れ始めたので、追加で生産を始めました。 また、生産を休止していたリボンツイーター使用のHC-TX400を同一Boxで復活させる計画です。そこまでは今まで開発した商品ですので、何も変化は無いのですが、手持ちの高級ユニットが有るのに気が付き、急遽テストBoxで試聴しています。
TX400のウーハーと取引価格が4倍高のユニットです。75mmのボイスコイル、ブラックファントム、埋め込み型のリード線、なんと言っても大型のネオジムマグネット仕様、グラスファイバーコーン、重量アルミダイキャストフレーム、更には繊細作業を可能とする台湾専門工場での生産とこれでもかと言うほどの仕様です。


ツイーターは同様のリオンツイーターを採用し、同一規格でテストしています。 このウーハーは、音の立ち上がりはもちろん良いのですが、ブレーキングが大変良く感じられます。 要するに音の切れが良くその為に中低域の音の輪郭が鮮やかで、一枚曇りをそぎ落としたかの印象です。 最大の欠点は能率の低さ。100W以下のアンプは不向きでは? 
反対に能率が低い分相対的に低音が豊かで、このサイズでは十分に感じます。 密閉型でこれ以上必要ないと感じる低音ですので、かなりの性能だと感じています。 TX400、TX420と比べ低重心の音で、歯切れが良いが軽い音ではありません。 ユニットの駆動がパワフル過ぎて、滑りやすい台やインシュレータでは落下してしまいます。販売にはシリコン足を付ける予定です。 もう一つの欠点は値段が高いこと。 1~2組ほど試しで製品化してみます

 

緊急事態宣言も一月近くなり、楽しいことがあまりにも無いのでヤフオクでSONY TA2000Fのプリアンプを買ってしまいました。
 
1971年製50年前の製品です。程度が良く全てに問題無く動作します。1977年のオーディオ大ブームの前で、この頃セパレートアンプを買う人はどんな人たちだったのか?
 
PhonoもMM、MCの両方に対応しますし、入力も多いので大変楽です。音は良くできていますが、中音の厚みが薄くトーンコントロールで高域と低音を減らさないと聴きにくい印象です。本当はソースダイレクトで使いたかったのですが・・・
 
元々TA2000は北米輸出用機種の様で、TA2000Fはその後出た国内向けらしいです。電気製品としては50年は耐久年数を超えていますので、コンデンサ(特に電解コンデンサ)は交換しないとまずそうです。そんな部品交換をやって、どのくらい変化するか・・・ちょっと楽しみです。
 

木工屋でもありますので、中身(音)が上手くできたらウッドケースを限界まできれいにする予定。