幾分形状に歪が感じられますが、元々のプラスチック製ホーンを改造して、セラミック(磁器)に変更してみました。
既製品のツイーターに、ネジ位置等の寸法を合わせ、陶器のホーンを製作していました。製作とは言っても、こんな物弊社では作れませんので、知り合いを通じて、アメリカの業者に1品物で発注し、スペインから届くと言ったややこしい商品です。
焼き物の事を良くご存知の方なら分ると思いますが、粘土の乾燥時、素焼きのとき、釉のとき、それぞれ収縮し、ネジ位置を正確に再現する事が非常に難しいのが陶器です。最も、トイレや洗面台等を作っている大手メーカーであれば、楽に出来る技術かもしれませんが、大きさや厚み、形状の違いでも収縮率は変化します。特にネジ穴は、釉が流れ込みバカ穴にしなければ塞がってしまいますし、フランジのネジ穴を大きくすると、強度上必要な厚み3㎜を下回り、物として成立しなくなってしまいます。
最初は全くの廃棄物になってしまいましたが、その結果から何とか製品に装着できるレベルになりました。見た目の上では気に入らない事も多々ありますが、プラスチックとセラミックの音の違いを知る事が出来て、その点では良かったと思っています。
さて、その音の差ですが、意外な事に気が付きました。それは、「さ・し・す・せ・そ・」の発音のときに、シャカシャカうるさい音が、プラスチックの共振音であったようです。
この共振音の為に、測定レベルではだいぶ高域を下げなければキツイ印象でしたが、セラミックでは、ピーク感が無いため、それと比べて1.5dBぐらい上げて設計できそうです。例の「さ・し・す・せ・そ・」の音も、殆ど気にならなくなりました。高域の能率を上げられたので、沈んでしまった音が表現できるようになり、更なる表現力が得られたと感じています。見た目は今一つでも、質感ではプラスチックよりは良く、それなりの価値はありそうです。
(1インチドライバー用ホーンも出来そうです)
問題は、当然値段が高い点で悩ましい所ですが、採用しない手は無いなと感じています。オプションでは、取り入れたいと考えてます。